上野日記

自分が主人公の小さな物語

田中慎弥の『図書準備室』を読んだ

田中慎弥の『図書準備室』を読んだ。2007年に新潮社より刊行された小説で、2005年に第37回新潮新人賞を受賞したデビュー作の「冷たい水の羊」と2006年に第136回芥川賞の候補となった「図書準備室」が収録されている。

過去に『切れた鎖』と『共喰い』を読んだのに、デビュー作だし読んでみるかと思い古本屋で手にして即買ってきた。
図書準備室:主人公は30歳を過ぎても働かず、母親の世話になっている。祖父の法事にやってきた叔母になぜ働かないのかと聞かれ、中学の時に出会った国語の教師の目と教師の戦争中の告白の話をする。それも延々と思い出話のように話す。

冷たい水の羊:主人公は中学生。級友からいじめられている。それもかなり陰湿に。〈「いじめ」を受けていると認識しなければ「いじめ」は成立しないという論理〉らしい。一人で自殺するのは寂しいからともいう。大津市のいじめ自殺事件を思い出してしまった。

〈まぎれもなくこの一冊から、田中さんの文学は始まったのである〉と解説者は書いているが、『切れた鎖』も『共喰い』も理解できなかったのと同様にやっぱりよくわからなかった。

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