上野日記

自分が主人公の小さな物語

石田衣良の『40 翼ふたたび』を読んだ

石田衣良の『40(フォーティ) 翼ふたたび』を読んだ。2006年に講談社より刊行された、連作短編集だ。『4TEEN』および『6TEEN』は14歳、16歳の少年4人組の話だったが、今度は40歳が主人公だ。

ふと立ち寄った古本屋でこの小説の存在を知った。ひょっとしたらあの4人組が40歳になったのかと思って、裏表紙の概要を読むと違っていた。面白そうだったが、その場では買わず図書館で借りてきた(^^;。
大手広告代理店を辞めフリーのプロデューサー業を始めた主人公の男性は40歳を迎えていた。結婚はしているが子供はいない。収入は妻のほうが上になってしまった。そこに訪れる40代の依頼者たちとの心の触れ合いが描かれている。依頼者は言う「人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分がもう終わってしまった」と。落ちぶれたIT企業の社長とロリキャラAV女優、大学の同級生の離婚話、23年間引きこもりの男性、正社員になったことのないオタク、末期の肺がんのコピーライター。40歳からでももうひと頑張りできる。「40歳から始めよう」と希望を持たせるのはいいが、話の内容が臭いテレビドラマのようでちょっと鼻白んでしまった。ま、NHKの「プロジェクトX」とか好きなので、一生懸命頑張って成功する(成果が出る)というのは嫌いではないし、読んでいて涙してしまった。

40歳の頃って何をしていただろうか。39歳の時に職場が戸塚から東戸塚に異動になり、親会社での委託業務から自社業務に変わった頃だ。仕事仲間なあまり変わらなかったが、仕事内容がかなり変わってストレスが溜まり始めた頃だったのかもしれない。

© 2002-2024 Shuichi Ueno