上野日記

自分が主人公の小さな物語

太宰治の『斜陽』を読んだ

太宰治の『斜陽』を読んだ。1947年に新潮社より刊行された小説で、太宰治の代表作だ。本書は、1999年に集英社より刊行された文庫本(本自体は2007年の2刷)だ。何度もテレビドラマ化されており、2009年には佐藤江梨子主演で映画が公開された。いずれも観ていない。

太宰治の代表作ということでいつか読みたいと思っていたら、図書館で見つけ即借りてきた。
戦後廃止された華族の没落を主人公の女性の語り口調で話は語られていく。子供を流産し離婚して実家に戻ってきた主人公、父親の死と華族制度廃止に伴い生活が苦しくなり、家や家財道具を売り、伊豆に引っ越す。お嬢様育ちの母親はちょっと風変わり。麻薬中毒だった弟が戦争から復員するが遊び呆けてあてにならない。落ちぶれても貴族のプライドを持つが、周りからは嫌がられる。「死」しかないのか。愛に生きようとした主人公は、不倫相手に振り向いてもらえず、強く生きていこうと決心する。人間いざとなったら開き直りが大切なのかもしれない。

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