上野日記

自分が主人公の小さな物語

池井戸潤の『不祥事』を読んだ

池井戸潤の『不祥事』を読んだ。2004年に実業之日本社より刊行された連作短編集だ。2007年に講談社より文庫本が刊行され、本書は2011年の新装版だ。

銀行を舞台とし、「激戦区」「三番窓口」「腐魚」「主任検査官」「荒磯の子」「過払い」「彼岸花」「不祥事」の8つの短編が収録されている。

主人公は入社5年目の花咲舞、あだ名は“狂咲(くるいざき)”で、仕事は優秀で歯に衣着せぬ言動で不正をただす。管理グループの調査役と二人で支店の臨店指導を行う。臨店先では、給料の高い窓口対応女子行員を無理やり退職させたり、犯罪行為に手を出す支店長をとっちめたり、ふまじめな若手行員を説教したり、詐欺犯人を追い詰めたりと、活躍が痛快だ。

短編ということで、ちょっと尻切れトンボのような感はあったが、ヒロイン花咲舞の活躍は読んでいて痛快で面白かった。

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