上野日記

自分が主人公の小さな物語

湊かなえの『贖罪』を読んだ

湊かなえの『贖罪』を読んだ。2009年に東京創元社から刊行された、章毎に主人公が変わる独白形式の連作短編小説だ。

2012年1月にWOWOWにて小泉今日子蒼井優小池栄子池脇千鶴出演でドラマが放送予定らしい。
仲良しの小学4年の5人の少女の一人が変質者に殺害される。その死体を発見したのが残りの少女たちだ。少女たちは犯人を見たはずなのに、顔を思い出せない。事件の3年後、殺された少女の母親から「わたしはあんたたちを絶対に許さない。時効までに犯人を見つけなさい。それができないのなら、わたしが納得できるような償いをしなさい。そのどちらもできなかった場合は、わたしはあんたたちに復讐するわ」といわれる。15年後の時効間近、少女たちは大人になったがその事件を忘れることができず、ずっと引きずって生きてきた。そしてさらなる悲劇が彼女たちに起きる。残された少女たちも被害者だったのかもしれない。何を償えばよかったのか。どのようにすればよかったのか。15年間悩み続けたのだろう。そして本当に償うべき人は……。

先日読んだ同じく湊かなえの『少女』に出ていくる「因果応報」を思い出した。事件の発端は元をたどれば、意外な人物に突き当たり、運命のいたずらはあまりにも残酷だった。ただ彼女たちは15年前に何をするべきだったのかがようやく分かり、重い過去から少しは解放されたのかもしれない。

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