上野日記

自分が主人公の小さな物語

三浦しをんの『まほろ駅前番外地』を読んだ

三浦しをんの『まほろ駅前番外地』を読んだ。2009年に文藝春秋より刊行された連作短編集で、第135回直木賞を受賞した『まほろ駅前多田便利軒』の番外編(続編)のようなものだ。また「まほろ駅前狂騒曲」が週刊文春2010年10月28日号から連載中らしい。

まほろ駅前で便利屋を営む<多田>と<行天>のコンビと依頼人とのふれあいを描く。便利軒で登場した人々とのその後も描かれていた。ただ、『まほろ駅前便利軒』に比べて、ひと捻り足りないような気がしたのは少し残念だった。

2年経って<行天>もちょっと丸くなったのかな。でも、隠された謎が残る終わり方は、続編の「まほろ駅前狂騒曲」があるからとわかりちょっと納得した。まほろシリーズはこれが最後らしいので、単行本の発売が楽しみだ。



<行天>が<多田>に送られてきた高校同窓会の案内葉書の「出席」に丸をつけて勝手に返事を出しため、<多田>が朝から機嫌が悪いという話があった。話自体は思わぬ展開になるのだが……。そんな中<多田>が便利屋依頼人から同窓会に行ったことあるのと聞かれ、「会いたい友だちとは個人的に会えばいいし、何十年も会っていないひとと、どんな話をすればいいのかわからないから」と<多田>がいい、<行天>も「そうだよねえ。俺もそう思う」というくだりがあった。

先日、Facebookで知り合った高校の同級生から忘年会の誘いがあった。同じクラスにはなったことがないので、たぶん面識はないと思う。「八高80卒」のメーリングリストに登録すると幹事から「八高80卒 関東地区忘年会」の出席依頼が来た。もちろん幹事も面識はない。ただ、知り合いが一人出席するのが分かり、断る理由もないので出席することにした。その数日後に先の文章を読んで<多田>と同じ考えだったので思わず笑ってしまった。

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