上野日記

自分が主人公の小さな物語

瀬尾まいこの『卵の緒』を読んだ

瀬尾まいこの『卵の緒』を読んだ。2002年にマガジンハウスより刊行された小説で、「7’s blood」が併録されている。「卵の緒」は2001年に第7回坊っちゃん文学賞の大賞を受賞した作品だ。

坊ちゃん文学賞と面白いタイトルなので記憶にあったのか、図書館をウロウロしていたら見つけたので借りてみた。

卵の緒:自分を捨て子じゃないかと勘繰りだした小学4年の少年。へその緒を見せてほしいと母親にせがむが、母親は卵の殻を入れた箱を見せて少年を卵で産んだのという。ちょっと変わった母親だが、親子の繋がりが何なのかを教えてくれた。

7’s blood:高校生3年の少女と小学生6年の弟、血は繋がっているけどちょっと複雑だ。弟は父親の愛人の子で母親が刑務所に入ることになり少女の家で引き取ることになった。父親は7年前に他界しており、引き取る言われはないのだが、少女の母親が周りの反対を押し切って少年を引き取った。しばらくして少女の母親は入院し、姉弟の生活が始まる。見た目は誰が見ても姉弟と分かるほどそっくりだが、ずぼらな姉としっかり者の弟、二人の成長と絆の深まりを描いている。2004年にNHKハイビジョンで『七子と七生〜姉と弟になれる日〜』と題し、蒼井優・知念侑李出演でドラマが放送されたらしい。


血の繋がりがあろうが無かろうが家族は家族、強い絆は決して揺るがない。でも、ちょっとほんわかとして、ちょっと切ない気持にもなった。

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