上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『あの頃の誰か』を読んだ

東野圭吾の『あの頃の誰か』を読んだ。2011年に光文社文庫から刊行された、短編小説集だ。約20年前のバブル時期に書かれたもので、単行本未収録の「わけあり作品」だそうな。なぜ「わけあり」かは作者があとがきに書いている。

シャレードがいっぱい」、「玲子とレイコ」、「再生魔術の女」、「さよなら『お父さん』」、「名探偵退場」、「女も虎も」、「眠りたい死にたくない」、「二十年目の約束」の8作品が収録されている。新聞広告をみて図書館に予約したのが1月末、予約数320だった。ようやく読むことができた。

シャレードがいっぱい:富豪の遺産と消えた遺言状、死体のそばにはAのような文字が残されていた。遺言状を見つけると意外な人物が犯人だと分かった。

玲子とレイコ:二重人格者そして殺人、その裏に隠された巧妙な罠。

再生魔術の女:殺された妹の仇をとるため意外な方法で犯人を追い詰めていく。

さよなら『お父さん』:長編小説『秘密』の原型になった話で、『秘密』の内容がギュッと縮められていたというような感じだった。

名探偵退場:名探偵と言われた老人が難事件解決の手記を出版しようとしていた。この事件の謎解きはとても難しく大変だったと懐かしむ。もう一度このような事件を解決したいと思っていたところに事件の依頼が来た。まるであの事件と同じようだ……。だが意外な結末が待っていた。

女も虎も:殿様の妾に手を出して捕らわれ、公開処刑を受ける。スタジアムで3つの扉から一つを選ぶ。一つには人食い虎、もう一つには絶世の美人、そして第3の扉が今回の処刑から設けられた。そして男が選んだ扉から出てきたものは……。

眠りたい死にたくない:会社の美女と初めてのデート。でもそこには罠が仕掛けられていた。

二十年目の約束:子供は作らないと約束して結婚した夫に、悲しい過去があった。20年目にして果たされた約束とは……。


どれもそこそこ面白いのだが、長編小説に比べるとやはり物足りなさを感じてしまった。

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