上野日記

自分が主人公の小さな物語

池井戸潤の『下町ロケット』を読んだ

池井戸潤の『下町ロケット』を読んだ。2010年に小学館より刊行され、2011年に第24回山本周五郎賞候補となり、第145回直木賞を受賞した長編小説だ。そして、現在WOWOW三上博史主演によるドラマが放送されている。観たい。

直木賞を受賞した時のニュースや新聞の寸評等を見ると評判がいい。何となく夢と希望のある話かなとか、「人工衛星まいど1号」のような話かなと思っていた。きっと、NHKで放送されていた「プロジェクトX 〜挑戦者たち〜」のような話に違いないと思い込んでいた。これは是非読まないと……。図書館の予約数は1000を超えており、読むには一年以上先になるかもしれない。ということで、本屋で買ってきた。単行本を買うのって何年振りだろう。
主人公は43歳で、従業員約200人売上100億円に満たない中小企業の社長だ。7年前に、宇宙科学開発機構でロケットエンジンの研究員だったが、ロケットエンジンが原因で打ち上げが失敗したことと父親の他界が重なって研究員を辞め、父親の会社を継ぐことにした。精密機械製造業から小型エンジンに注力し売り上げを伸ばしてきたが、大口顧客からの契約打ち切り、ライバルの大企業から特許侵害で訴えられる、その状況をみた銀行は融資を渋ることになった。資金繰りが難しくなり倒産覚悟の崖っぷちに立たされる。そんな危機に光を射したのは彼が保有する「特許」だった。

大企業相手に、自社が保有する最先端のロケットエンジンに関する特許で立ち向かう。特許を売って運用資金にするべきか、それともロケットを飛ばしたいという自分の夢を追い続けるべきかと悩む。企業間の問題、社内の問題と悩みの種は色々とある。夢は追いかけたい。若手社員は社長の夢に付き合ってられないと反旗を翻す者も現れる。さあ、どうする……。


人との交渉はとても嫌いだったし、特に私にとって人を「説得」させるのはとても苦手だった。だが、この物語に登場する人たちは「プライド」を持って対応する。そして克服する。泣けた……。

© 2002-2017 Shuichi Ueno