上野日記

自分が主人公の小さな物語

吉田修一の『7月24日通り』を読んだ

吉田修一の『7月24日通り』を読んだ。2004年に新潮社より刊行された小説で、2006年には大沢たかお中谷美紀のW主演で『7月24日通りのクリスマス』と題して映画が公開された。

長崎で平凡なOL生活を送る主人公は、長崎の街をポルトガルリスボンに置き換えて一人妄想の世界に入る。「ジェロニモス修道院前」の停留所でバスに乗り、「7月24日通り」を走り「コメルシオ広場」脇で降りて近くのカフェでサンドイッチと牛乳を買う…と。イケメンで自慢の弟の彼女があまりにも地味で平凡だったので、自分と重なり辛く当たってしまう。まるで自分を責めるかのように。高校の部活の同窓会で憧れだった先輩と再会する。そしてデートに誘われる。高校時代の先輩には誰が見てもお似合いの彼女がいた。自分とはまったく正反対の彼女だった。間違いだと分かっている、行けば必ず後悔する、それが怖くてそちらの道を選べない。そして彼女が取った行動は……。
Wikipediaによると映画は「ロマンティック・コメディ」に分類されているようだ。小説とは設定もちょっと違っているが、小説にはコメディ的なものはなかったので面白可笑しく作られているのだろう。YouTubeで探したら予告編があり中谷美紀が坂道で転ぶシーンは記憶に残っていた。ちょっと観てみたいな。


【2014/12/24追記】
 昨日NHK-BSで放送された映画『7月24日通りのクリスマス』の録画を観た。原作を読んだのはもう前なのですっかり内容は忘れてしまっていた。何となく「妄想女子」というイメージだけが残っている。今でいうところの「こじらせ女子」なのかもしれない。中谷美紀といえば先日最終回だったNHK大河ドラマ黒田官兵衛』の妻・光役での良妻賢母からJINでの薄幸の花魁役までいろいろと多彩な才能を発揮している。中谷美紀はかわいすぎるし、大沢たかおは格好良すぎるし、佐藤隆太はちょっと残念だけど、内容としてはまあまあだったかな。

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