上野日記

自分が主人公の小さな物語

五木寛之の『レッスン』を読んだ

五木寛之の『レッスン』を読んだ。正確には“読み返した”になるが。1992年に光文社より刊行された恋愛小説で、2008年に幻冬舎より加筆訂正され新たに単行本化されたものだ。ネットで検索したら1994年に秋吉久美子渡部篤郎で映画化もされていた。

図書館でこの本を手に取った時、読んだような気がするがと思いつつ借りてきた。自宅の本棚を見ると新潮文庫の文庫本があった。本の発行年から換算すると15年ぐらい前に読んだことになるが、あまり覚えてなかったので読むことにした。
26歳の青年がふとしたことから42歳の女性からレッスンを受ける。ゴルフ、ファッション、セックス、マナー、車の運転、そして恋愛、女性の扱い方、人生観、死について。魅力的な女性からのレッスンを受けて青年は大人の男に成長していく。永遠の愛はつかめないものだろうか。


「改定新版への作者あとがき」の冒頭に以下のような文章がある。

人が学ぶことができるのは、人からである。書物もまた人の言葉を文字にしたものにすぎない。そして人は未来への期待によって成長することができると同時に、過去の想い出によっても成長する。
 人がものを考え、ものを感じ、前へ進んでいくためには、人生における長い記憶の集積を土台にするしかない。
 この小説は恋愛がテーマではなく、そのような時間を共有することによって一人の青年が成長していく物語である。

うん。まぁ。たしかに、そうだよな。どれだけ人と話したかでその人の人生の厚みが増えてくるのかもしれない。本を読むことでそれをカバーすることはできるだろうか……。

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