上野日記

自分が主人公の小さな物語

田中慎弥の『切れた鎖』を読んだ

田中慎弥の『切れた鎖』を読んだ。2008年に新潮社より刊行され、「不意の償い」「蛹」「切れた鎖」の短編が収録されており、第21回三島由紀夫賞を受賞した。また、「切れた鎖」は第138回芥川賞候補になり、「蛹」は第34回川端康成文学賞を当時史上最年少での受賞となった。


不意の償い:団地で育った幼馴染同士、高校のとき初めてセックスをした日それぞれの両親が務めるスーパーが火事にあい亡くなる。それが原因で「やましい気持ち」を持つようになる。二人は結婚しやがて妻が妊娠をするが、夫の身勝手なセックスからの妊娠だったとまた「やましい気持ち」になる。その「やましい気持ち」が原因で色々な妄想に駆られる。駅のホームで落とされそうになる感覚を持ったり、電車に乗り合わせた老婆が狸や猿に見えたり、警官が変な目で見ているのではないかとか思ったり……。なんか読んでいてイライラしてしまった。些細な「罪」でもその「償い」は大きいものなのだろう。
:幼虫からさなぎになるカブトムシの話。なかなか羽化できない。父親を超えるような立派なカブトムシになることができるかと悩んでいるようだ。
切れた鎖:地方の旧家・桜井家に住む老女と娘と孫娘。自分の母親からされた仕打ち、自宅裏の在日朝鮮人の教会と出て行った夫に対する恨みと憎悪を抱える。娘は孫娘を置いて家に帰らない。名家であった桜井家が寂れていく悲しさと孫娘と二人きりになった寂しさは、過去の仕打ちによるものなのか……。


ちょっと私にはわかりづらい小説だった。文章自体もわかりづらい。賞を取った作品なのでそれなりに評価されているのだろうが、もうあと何回か読み返さないと理解できないかもしれない。

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