上野日記

自分が主人公の小さな物語

浅田次郎の『霧笛荘夜話』を読んだ

浅田次郎の『霧笛荘夜話』を読んだ。古びたアパート「霧笛荘」を舞台にした7つの短編集で、2004年に角川書店より発行された小説だ。最初の3話が1994年に「小説王」、次の1話が1999年に「KADOKAWAミステリ」に、最後の3話が2004年に「野生時代」に掲載されたものだ。10年の歳月にちょっと驚いてしまった。

住居を探しに「霧笛荘」を訪れた人をアパートの管理人の老婆が各部屋を案内し、かつてそこに住んでいた人のことを語り出す。
住人一人ひとりが主人公として語られる。隣や二階の住人が登場すると、その人が次の話で主人公になる。霧笛荘に辿り着いた経緯や、その人の過去の話が綴られている。悲しく切ない、そして懸命に生きていく。管理人の老婆は、彼らは決して不幸じゃなかった、幸せだったと語る。


学生の頃住んでいたアパートが、たしか「清和荘」という名だった。4畳半で風呂とトイレが共同で、1階に公衆電話が置いてあり、この「霧笛荘」と同じような感じだった。飲み会やったり徹夜でマージャンやったりと、狭いながらも楽しい青春を過ごさせてもらった。いま、どうなっているだろうか……。

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