上野日記

自分が主人公の小さな物語

片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』を読んだ

片山恭一の『世界の中心で、愛をさけぶ』を読んだ。300万部を突破する大ベストセラーとなった小説で、漫画化・映画化・テレビドラマ化・ラジオドラマ化・舞台化されているらしい。

Wikipediaによると、「2002年に女優の柴咲コウが、雑誌ダ・ヴィンチに投稿した書評のコメント『泣きながら一気に読みました。私もこれからこんな恋愛をしてみたいなって思いました』が書籍の帯に採用され、ブレイクのきっかけ」となったらしい。
テレビドラマ版は観なかったと思う。映画版はテレビ放送で観たような気がするが、どうしても思い出せない。空港で少年(森山未來)が倒れた少女(長澤まさみ)を抱えて「助けてください」と叫んでいるのや、オーストラリアで散骨するのはなんとなく覚えている。でも全体が思い出せなかった。……ひょっとしたら、映画の番宣を観たのかもしれない。

ということで図書館から借りてきたが、柴崎コウが「泣きながら読んだ」といっているほどには、泣けなかったのでちょっと期待外れだった。どちらかというと少年(サク)の祖父の話にほろっときてしまった。少年たちが「死」について話し合う件があるが、養老孟司の『死の壁』や五木寛之のエッセイ『他力』『不安の力』でもそれについて考えさせられたが、この小説でも考えさせられてしまった。


私自身もこの少女と同じように17歳のとき病気で約9カ月入院していた。留年が決定してから何となくやる気がなくなり、日がな一日テレビを観るかマンガを読むかくらいしかせず、無駄に時間を費やしてしまった。まだ若いこの時期に、もう少し本を読んでおけばよかった……。小説の中のエピソードとは時期が異なるが、ラジオ番組にリクエストハガキを書いて読まれたり、交換日記をしたのもこの入院中だったことを思い出した。

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