上野日記

自分が主人公の小さな物語

綿矢りさの『インストール』を読んだ

綿矢りさの『インストール』を読んだ。17歳で文藝賞を受賞したデビュー作だ。2004年には19歳で『蹴りたい背中』で芥川賞を受賞した。金原ひとみとの同時受賞、そして最年少受賞記録を大幅に更新し話題となった。それに、意外と可愛いということで印象に残っていた。

本当は芥川賞を受賞した『蹴りたい背中』を探していたのだが、なかなか見つからなかった。図書館はいつも貸し出し中だ。ということでこの本を借りてきた。2004年には上戸彩神木隆之介出演で映画化もされているらしい。
登校拒否となった主人公の女子高校生がパソコンに強い小学生と出会う。少女が捨てたパソコンをその小学生が貰い、OSを再インストールして直したのだ。小学生からチャット風俗のアルバイトをお願いされ、次第にネットの世界にはまっていく……現実逃避。そのうち両方の母親にばれて、現実の世界に戻ることを決心する。この少年は、少女自身にも再インストールで、リセットしてくれた……と。
17歳の少女がこんな小説を書いたのかと思うとビックリする。賞をとるのもうなずける。


ソフトウェア関連の会社に就職したので「インストール」は日常茶飯事だった。入社当時は、カーリングのストーンみたいな磁気ディスクと円盤投げの円盤のような磁気テープを棚から持ち出してマシンを使いに行く。開発途中でテスト段階のOSなのでインストールしても動かないこともあった。パソコンを買ってからは、MS-DOSWindows(3.1, 95, 98, 2000, XP, Vista, 7), 仕事の関連でWindows Server(2000, 2003, 2008), Unix系(386BSD, FreeBSD, NetBSD, Linux系種々)と何度繰り返したことだろうか。

そろそろ、私自身も再インストールしなければならない時期が来た。さて、何をインストールしようか……。

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