上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『天空の蜂』を読んだ

東野圭吾の長編クライシスサスペンス『天空の蜂』を読んだ。東野圭吾が「今まで書いた作品の中で一番思い入れが強いのはどれかと訊かれれば、これだと答えるだろう」と述べたと本の帯に書かれている。

自衛隊に納入前の新型で超大型のヘリコプターが製造会社の格納庫から盗まれ、自動操縦で原子力発電所の上空でホバリングする。偶然にヘリコプターに乗り込んだ子どもが閉じ込められた。その救出はどうするか、犯人とのやり取りや政府の判断は……。手に汗握る展開となる。
小説は、ある日の午前5時に始まり午後の2時過ぎまでの約10時間の内容だが、600ページ超の長編で読み応えがあり、なかなか面白い。「原子力発電所」に対する考えが、色々な人の立場(関係者、近隣住人、反対派など)から語られている箇所は考えさせられる。


ヘリコプターに初めて乗ったのは、もう20年前になるボストンに赴任していたころだ。職場の仲間とカナダに旅行に出かけ、ナイアガラの滝上空を遊覧飛行した。ヘリコプターは滝の上空で旋回を始めると遠心力で強いGを感じ、ジェットコースターより数段上のクライシスサスペンスを味わった。ナイアガラの滝近くの土産物屋でかったペーパーナイフは今でも大事に使っている。

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