上野日記

自分が主人公の小さな物語

カミュの『異邦人』を読んだ

窪田啓作(1920-)訳、アルベール・カミュ(Albert Camus)の『異邦人』(L'Étranger)を読んだ。Wikipediaによると「カミュの代表作の一つとして数えられる。カミュが46歳の若さでノーベル文学賞を受賞したのは、この作品によるところが大きいと言われる」らしい。冒頭の「きょう、ママンが死んだ」という訳や「太陽のせい」という主人公のセリフが有名らしい。

本屋で、「カミュの『異邦人』、なんか聞いたことあるな」ということで手に取ってみた。カミュの処女作で代表作というのも、1957年にノーベル文学賞も受賞したのも、私が生まれた年に若くして交通事故で亡くなったというのも、もちろん知らなかった。
内容は、母親の死で始まり、面会しても葬式でも涙を流さない主人公……、そして殺人を犯し裁判にかけられる。私も含めて普通の人が見ると「変わった人」に見えるが、主人公はそれを不条理ととらえているらしい。それが題名の"異邦人"を意味している。

フランスの小説なので、人名や地名がカタカナで表記されているので、どっちがどっちか男性か女性かこんがらがってしまう。小説の前半はあまり面白くないなぁ……と思っていたら、後半に行くにつれて、特に裁判や祭司とのやりとりは面白く引き込まれていった。訳本は1951年(この文庫は、1954年)の発行だが、現代風の文章でとても読みやすかった。


私の場合、「異邦人」といえば最初に思い出すのが久保田早紀の歌だ。作詞作曲とも本人によるもので、1979年から1980年にかけて大ヒットした。学生時代のマンドリンクラブ(サークル活動)の演奏会でも弾いた曲で、社会人になってからもカラオケでよく歌っていたように思う。……本を手にしたときに、ふと蘇った懐かしい想い出だ。

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