上野日記

自分が主人公の小さな物語

村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』を読んだ

村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』を読んだ。こちらも正確には読み返しただ。ただ、『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』はほとんどその内容を忘れていたが、こちらは4分の1ぐらい覚えていた。さすがに700ページ超の長編は疲れた。

羊をめぐる冒険』から4年半の歳月が流れていた。<僕>は再び「いるかホテル」を訪れて、不思議な冒険が始まった。「訪れて」というよりも、何かにおびき寄せられた感じだ。もちろん、あの<羊男>も不思議な空間に現れたし、そこから色々な人と繋がりながら物語は展開していく。本当に不思議なムラカミ・ワールドだ。
結局、<羊男>はなんだったのか、<僕>自身だったのか、それとも<僕>の夢だったのか、と理解に苦しんだ。今回も色々な人が死んだ。<羊男>も死んだのだろうか、それとも消滅しただけか。そういう意味で「死」をテーマにしていたのかもしれないし、逆に「生」がテーマだったのかもしれない。彼女の「言ったでしょう、そんなに簡単に人は消えないよ」の言葉に<僕>は疑問を抱く。それでも朝は来た……

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