上野日記

自分が主人公の小さな物語

五木寛之の『人生の目的』を読んだ

五木寛之の『人生の目的』を読んだ。『大河の一滴』に続く本だ。といってもエッセイなので続編ではない。

「いまなぜ人生の目的か」、「肉親について」、「金銭について」、「信仰について」、「わが人生の絆」、「こころの絆」、「学校の絆」、「青春の絆」、「人間の絆」をサブテーマに70余のエッセイが綴られている。
「人生に目的はあるか。私はないと思う。何十年も考えつづけた末に、そう思うようになった」と冒頭にある。五木さんが何十年も考えてきたのだからそうなのだろうなぁ、まぁ目的を持って生れてきた人はいないのはたしかかもしれないとふと思った。ただ、最後には「人生の目的の第一歩は、生きること、である」と一つの解らしきものが示されている。「運命と宿命を知り、それを受容して、なお生きること」と。この一つの解に行きつく過程も面白い。

「わが人生の絆」と題して、色々のエピソードが綴られている。戦争体験、小学校、中学校、高校、大学と人とのつながり・絆が五木さんを大きく育てたのかもしれない。厳格だった父親のこと、若くして亡くなった母親のこと、学生時代の先生のこと、…。<絆>には「馬・犬・鷹などを、動物をつなぎとめる綱」という意味や「断つに忍びない恩恵。離れがたい情実」という意味があるらしい。<絆>には何か物がなし響きもあるのだが、我々人間にとっては大事なものなのかもしれない。

ふと、あの頃のみんなはどうしているのだろう、と思うときがある。
私の絆は今でもだれかにつながっているのだろうか…。

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