上野日記

自分が主人公の小さな物語

山田太一の『恋の姿勢で』を読んだ

この本もいつ買ったのか覚えていないほど昔だ。ブックカバーに「未来屋書店」とある。どこの本屋かも思い出せない。URLが書いてあったのでアクセスしてみた。全国に書店がある。熊本県を見たら八代に1店だけだった。神奈川県をみたら3店あり、記憶にない店ばかりだ。東京を見ると「品川シーサイド店」があった。昔勤めていた会社の本社があるところだ。出張の空き時間にでも買いに行ったのだろうと一人で納得した。
米国・アリゾナで偶然に出会った二人が一夜を過ごす。お互いの素性は明かさない。再び東京で偶然に出会う。女性は男性を愛し始めていた。お互いを知らないまま恋愛は続く。不思議なストーリだ。女性は男性の過去を知ることになるが、最後までその恋愛ゲームは続き、そして本(話)は終わる。二人はどうなるのだろう……と思った。

解説は鷺沢萠(さぎさわ めぐむ)という人が書いていた。失礼だが読み方も知らない人だった。調べたら女性で小説家だった。私よりも8歳も若いが、35歳で亡くなっていた。自殺だったらしい。解説には22、3歳で山田太一に初めて会い、小説をほめてもらったことが書いてあった。「鼻血が出るかと思った」と表現している。そのような生き生きとした文章を書いた人が亡くなっていたと知って驚いてしまった。

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