上野日記

自分が主人公の小さな物語

第1回 Japan Linux Symposium 基調講演

10/21から10/23に開催されている「第1回 Japan Linux Symposium」の基調講演に出席してきた。
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Japan Linux Symposium

各技術セッションは秋葉原の「秋葉原コンベンションホール」だが、本日(10/21)の基調講演は溜池山王駅近くの「ANAインタコンチネンタルホテル東京」の大広間で実施された。総勢1000人を超える人たちが集まり、日本Linux史上最大の講演になったと思われる。

なんといっても目玉ゲストはLinuxの創始者Linus Torvalds氏である。

Linux Foundationのエグゼクティブ・ディレクタのJim Zemlin氏との「Linux その歴史、開発の仕組み、オープンイノベーションにおける意味」を対談形式で行われた。将来の展望としてはイノベーションは予期できないが、組み込み系の会社と協力していきたい、らしい。また、Linux開発の秘訣は何かというと、新しいアイディアを受け入れてきたこと、開発する場合の有機的なプロセス、生物的なプロセス、つまり開発過程が変異し進化していったことがあげられると。未来のもう一人のLinusにアドバイスをとの問いに、関心の持てること、わくわくするものを見つけること、一日10時間を10年間続けられるものを見つけること必要だと。Linuxが誕生して18年になる、みんながLinusに感謝しているとの言葉にLinusは「自分のためにやったこと、感謝しなくてもよい」と。

講演終了後の休憩時間、みんなから写真撮影をお願いされる。私も一緒に撮りたかったが握手サンキューだけでその場を離れた。「Linusと握手をしたことがある」というのはちょっとした自慢になるかな?:-p

続いて、Ruby創始者(本人はこの言葉は好きじゃないらしい)の まつもとゆきひろ氏の講演が「UNIX + OSS + Ruby」と題して始まった。

本人いわく「UNIXが大好き」らしい。WindowsがインストールされているノートPC(ThinkPad)を買っても、電源入れてハード的に問題ないことが確認できたらWindowsをつぶしてLinuxをインストールするほどらしい。MSは嫌いじゃないけどWindowsは使わないそうだ。次に「プログラミングが大好き」らしい。Lispsmalltalk、C、Perlが好きらしい。もちろんRubyも。いろんなソフトのソースコードを読んだことが今の自分の基礎になっていると。「Ruby Makes you Enjoy Programing ... Again」と締めくくられた。

次は、「ウィキノミクス」共著者のAnthony Williams氏の「How Mass Collaboration Changes Everythin」という講演だ。

ウィキノミクス自体知らず、話の展開が早くてちょっとついていけなかった。まぁ、Mass Collaborationでいろんなことができる、Webを通じた無数の人の協働(Collaboration)によって成立する世界、ということをい言ったかったようだ。「Oracleのように吸収合併で大きくなる会社もある」という質問に対して、「色々モデルがあり、どちらが悪いとは言えない。が、Mass Collaborationがいいと思う」で締めくくられた。

最後にパネルディスカッション「How Linux Meets Business」が行われた。高橋信頼氏(ITProの副編集長)がモデレータで、パネリストはLarry Augustin(SugarCRM CEO)、James Bottomley(Novell Distinguished Engineer)、亀澤寛之氏(富士通 Linux開発者)、山田伸一氏(NTTデータ常務)の4名だ。


  • コミュニティと協業する理由

コミュニティとのチャネルの維持。コミュニティと共に活動を継続。ほしい機能が組み込める。よいソフトが作れる。

  • Linuxに対するユーザの不安を取り除くには何が必要か

サービス側のノウハウ・経験・人材の蓄積。サービスもCloudで提供。パッシブユーザを教育・啓蒙し、アクティブユーザにする。ロードマップをちゃんと示す。ユーザインタフェースをクールにする。トラブルシュートが不明な場合が多い。オープンソースのビジネスアプリが少ない。よいサポートが得られれば使ってもらえる。

  • LinuxとIT産業の未来:"次の10年"にLinuxが主要な役割を担うとすれば、我々は将来のオープンイノベーションにどのように備えるべきか。

オープンソースをアテ(期待して)にできるような機能を考える。このためには、デグレードテストやダンプのようなものも重要となる。コミュニティの透明性(閉ざされていない)やグローバルな協調。使いやすいOSや新しいモデルを作る。コラボの在り方を考える。スケーラビリティが必要で、将来64CPUや128CPU対応も絶対必要になる。モバイルとクラウドオープンソースがあるから発展してきた。デスクトップは不要になる。

13:30から17:20とちょっと長かったが、有意義な時間を過ごすことができた。「日本OSS推進フォーラム」「IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)」「The Linux Foundation」に感謝する。

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