上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『希望の糸』を読んだ

東野圭吾の『希望の糸』を読んだ。2019年7月5日に講談社より刊行された長編推理小説だ。発売と同時に速攻で図書館に予約したが、ようやく読むことができた。借りた本は、誰も読んでない新品だったので、ちょっと嬉しかった。

以下の概要はAmazonより:

東野圭吾の最新長編書き下ろしは、「家族」の物語。
 「死んだ人のことなんか知らない。あたしは、誰かの代わりに生まれてきたんじゃない」
 ある殺人事件で絡み合う、容疑者そして若き刑事の苦悩。どうしたら、本当の家族になれるのだろうか。
 閑静な住宅街で小さな喫茶店を営む女性が殺された。捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男性。災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。容疑者たちの複雑な運命に、若き刑事が挑む。

先入観を取り除くため、概要などを調べずに読み始めた。登場人物に刑事の松宮脩平が登場したときに気付かなかったのは少し悔しいが、加賀恭一郎が出てきて驚いた。ひょっとしたらこれは加賀恭一郎シリーズなのか、前作で完結したのではなかったか(続編は期待しているし、看護師・金森登紀子とのその後も気になる)と思い調べたら、違った。恭一郎の従弟・松宮脩平が主人公だった。どちらかというと、加賀恭一郎シリーズのスピンオフという位置づけだろうか。

茶店の女店主が殺された。それの犯人を追う松宮刑事、アドバイスする加賀恭一郎。松宮は常連客の男性に目星をつけるが、彼には悲しく複雑な家族関係があった。女店主の元夫やその内縁の妻にも悲しい過去がある。驚いたのは、事件とは関係ないが松宮刑事が母親からは死んだと聞かされていた父親の事だった。腹違いの姉も登場する。登場人物それぞれに複雑な運命が折り重なれており、そこには希望の糸があった。なかなか面白かった。さすが東野圭吾





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