上野日記

自分が主人公の小さな物語

東野圭吾の『素敵な日本人』を読んだ

東野圭吾の『素敵な日本人』を読んだ。2017年に光文社より刊行された短編小説集だ。2011~2015年に発表された「正月の決意」、「十年目のバレンタインデー」、「今夜は一人で雛祭り」、「君の瞳に乾杯」、「レンタルベビー」、「壊れた時計」、「サファイヤの奇跡」、「クリスマスミステリ」、「水晶の数珠」の9編が収録されている。

以下はAmazonより:

短編も、東野圭吾。規格外のベストセラー作家、死角なし。
 登場する人物がどこか知人に似ていたり、あなた自身にも経験のあるトラブルだったり、つい思い浮かべてしまう妄想の具現化だったり、読み心地はさまざま。ぜひ、ゆっくり読んでください。豊饒で多彩な短編ミステリーが、日常の倦怠をほぐします。
 たとえば、毎日寝る前に一編。ゆっくり、読んでください。豊饒で多彩な短編ミステリーが、日常の倦怠をほぐします。意外性と機知に富み、四季折々の風物を織り込んだ、極上の九編。読書の愉楽を、存分にどうぞ。

正月の決意:町長、教育長に警察署長…、下らん奴は一杯いる。借金のために死ぬことはない。もうひと頑張りだと元日に決意する。

十年目のバレンタインデー:亡くなった親友のために10年間頑張りました。

今夜は一人で雛祭り:嫁姑問題。亡くなった妻は我慢強かったと娘の婚約で思い出し、嫁ぎ先の親を見て心配する。娘は言う「お母さんは我慢なんてしてなかったのよ」と。その答えは雛飾りの写真にあった。

君の瞳に乾杯:人数合わせの合コンに呼ばれて親しくなった彼女。思わぬ結末が待っていた。

レンタルベビー:子育てを疑似体験するための赤ちゃんロボットをレンタルする。排泄物の処理や夜泣きに悩まされる。期間前に解約すると違約金を取られるので我慢するも、次第に母性本能に芽生えてくる。えっ、そっちも…。

壊れた時計:金に困った男が怪しい仕事をして、そこで人を殺してしまう。殺した相手の壊れた腕時計をどうするか、いろいろ悩み墓穴を掘ってしまう。思わず笑ってしまった。

サファイヤの奇跡:子供の頃、近所の神社で仲良くなった野良猫が自動車事故で死ぬ。数年後トリマーになった彼女が出会った青い猫を見て、その猫だと確信する。そんなのあり?

クリスマスミステリ:殺人を画策するも思わぬ落とし穴が待っていた。

水晶の数珠:父親に勘当を言い渡された息子は自分の夢を追うために渡米する。父親が末期癌で最後の誕生日会を開くと姉から連絡があり帰国するも、東京駅で父親からの電話に腹を立てアメリカに戻る。父親の思いを死後に知ることになる。


あぁ東野圭吾の作品だと思わせる作品ばかりだった。短編だと少々物足りなさを感じてしまうが、結末に「なるほど」とか「そうきたか」とうならされてしまう。なかなか面白かった。




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