上野日記

自分が主人公の小さな物語

角田光代の『紙の月』を読んだ

角田光代の『紙の月』を読んだ。2012年に角川春樹事務所より刊行され、同年第25回柴田錬三郎賞を受賞した長編サスペンス小説である。2014年に原田知世主演でテレビドラマ化され、同年11月15日には宮沢りえ主演で映画化もされた。その映画が、昨年末BS-TBSで放送された。まずは原作を読んでから観ようと思っていたら、こんなに遅くなってしまった。

紙の月 - 角田光代

以下の概要はAmazonより:

わかば銀行から契約社員・梅澤梨花(41歳)が約1億円を横領した。梨花は発覚する前に、海外へ逃亡する。梨花は果たして逃げ切れるのか?―--自分にあまり興味を抱かない会社員の夫と安定した生活を送っていた、正義感の強い平凡な主婦。年下の大学生・光太と出会ったことから、金銭感覚と日常が少しずつ少しずつ歪んでいき、「私には、ほしいものは、みな手に入る」と思いはじめる。夫とつましい生活をしながら、一方光太とはホテルのスイートに連泊し、高級寿司店で食事をし、高価な買い物をし・・・・・・。そしてついには顧客のお金に手をつけてゆく。

上から目線の夫との微妙な心のすれ違いが起因となり、ふとした出会いの大学生に心のやりどころを覚えている。罪悪感もなしに顧客の金に手を伸ばす、ほんとちょっとしたきっかけが深みにはまっていく。なんか悲しさを漂わせた内容だった。

女性たちの金遣いの荒さの原因はそれぞれで、現状生活への不満、妊娠・子育てのストレス、正義感・ボランティア精神からくる人助けと、それぞれだったが私には理解できないので、読んでいてイライラしてしまった。小説だから内容に文句言っても仕方ないけど…(^^;。

読了後録画していた映画を観た。微妙に原作と違っていて、登場人物の心理描写や、何故そんなことを考えてしまったとか、何故そうしなければならなかったとかが描かれていなかったのは残念だ。この原作の内容を2時間に収めるのは多少無理があったのかな。

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